理事長の呟き

〜アンチエイジング医療に邁進する精神科医のひとり言〜

Vol.80

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『感情障害再考』

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今年のGWはカレンダー的に皆さんが長期の連休にはなりにくいようですが、それでもしっかりと「11連休になるよ」とおっしゃる患者さんもおられました。それでなくてもインバウンドの方々でどこも観光地は混雑しているところに、日本国民も併せて移動をしてしまったらとんでもなく混雑するところも出てきそうな気も致します。コラム読者の皆様におかれましては、ゆったりと落ち着いたGWをお過ごしの事と存じます。

相変わらずの文春砲にしてやられている芸能界の不倫報道ですが、何となく国民新党の玉木さんの報道から、何となく潮目が変わってきているような感じもしなくはありません。このコラムで何度も言うように、あくまでも当事者同士の問題であって、公共の電波を使って国を挙げて大騒ぎするのも如何なものかと世間の皆さんも思うようになってきた(いい加減飽きてきた?)のかもしれませんがどうでしょうか?

さて今回のお題に入らせて頂きますが、皆さんは躁うつ病、うつ病、躁病といった言葉は耳にされたことはあるかと思いますが、周りで実際にそのような疾患の方に巡り合った経験はおありでしょうか?最も確率が高いとすればうつ病であろうかと思いますが、躁病の真っただ中にいる方と巡り合うことはあまりないのではないかと思います。実際に発症する頻度もうつ状態の方が圧倒的に多いはずです。

これらの疾患を精神科では『感情障害』というカテゴリーで総じております。そして双極性と単極性に分類して、躁状態とうつ状態の両方が存在するケースが躁うつ病とされ双極性、躁病またはうつ病のどちらかしか発症しないものを単極性として診断、治療を行っていきます。人には必ず、嬉しい、楽しい、悲しい、辛いといった感情の波は存在しますから、その波の大きさがどこまで行けば疾患とするのかという診断基準は必要になるわけです。

我々精神科医も臨床の現場でそのような患者さんに対峙し診察を行ったうえで診断を下さなくてはならないわけですが、全てのどんな疾患にも軽症なものから重症なものまで重症度は異なりますから、対応や治療方法も当然異なってきます。かなり前からこの拙コラムでは申し上げておりますが、精神疾患の治療の必要性とは、『その患者さんが今までと同じような日常生活を営むことが出来なくなっているかどうか』が最終的に重要なポイントになると私は思っております。

これまでと同じように会社や学校に行けなくなったり、美味しく食べられていた食事が食べられなくなったり、何をするのも憂うつで意欲が出てこなかったり、そんな状態になっていると当然うつ病の存在を疑って対応していきます。そしてこれらの症状は患者さん自身も、今までとは違う、何かおかしい、と少なからずは自覚出来ているはずです。少し専門的な言い方をすれば、病識(自分は病気だから絶対に治療が必要である)には至らなくても病感(治療の必要性までは感じないがなんとなく病気かも)は持てていることが多いと思われます。

ところが躁状態の場合はどうかというと、自分自身は絶好調であり、何をしても辛いなんて思えないし、世界は自分中心に回っていたりするものですから、声も大きくなってしまったり、不眠不休でも疲れを感じなかったり、長時間の車の運転もヘッチャラだったり①致します。たとえばどこかのSAで全く見知らぬ人に自ら声をかけていくようなこと②があっても不思議ではありません。

そして躁病の一番厄介のところは、自分は“最高”の状態にあるわけですから、まさか自分が病気であり、治療を要する状況にあるなんてこれっぽっちも思っていないことなのです。たとえ病院に運ばれたとしても、「なんで私が治療されなきゃいけないのよ!!」と医療従事者に対して反抗的になり、ともすれば暴力行為に及ぶようなこと③があってもこれまた不思議ではないのです。つまり病識どころか病感すら持てない状態でございます。

その後にこれまでの経過や状況を落ち着いた環境下でしっかりと話を聞こうとしても、じっとしていられなかったり、つじつまの合わない話を一方的にしたりという落ち着かない状態が続く④とすれば、何らかの精神疾患を疑われることとなり、これが薬物摂取による症状ではなく、診断的に統合失調症も否定されたとなったら、(①②③④より)躁病の可能性を最も疑うことになろうかと思います。

感情障害の診断が間違っていなければ、適切な治療を行うことで殆どの場合『寛解』状態にもっていくことは可能です。ここで大切なことは完治ではなく寛解という事であります。それはどういうことかと申しますと、感情障害は何かが引き金になり再発をしてしまう可能性がある疾患であるということです。ですから完治という言葉を使用することが出来ません。つまり症状が改善した後でも特に躁病の場合は、再発を予防する手立てを継続する必要があるという事です。

これがまたなかなか厄介な事でして、そもそも病識はおろか病感すら持てなかった人を何とか治療をして改善させても、本人は自分が病気でそれを治したという自覚は持ちにくいので、寛解状態に再発をさせない治療が必要であるというmotivationを維持させることはかなり困難なのはご理解いただけますでしょうか。そこで治療が自己中断されて、いつの間にか何かのきっかけで再発を繰り返すという残念なケースを私自身も経験しております。

どんな疾患も早期発見、早期治療がベストであることは感情障害にも当てはまります。重症化する前に軽症状態で対応すれば大事には至らずに済みます。特に自分自身が病識を持ち辛い疾患は周囲の人たちが、日頃から注意深くかかわって頂くことで早期での治療開始(再開)に繋ぐことが可能となります。とはいえ、ちょっと明るく元気になった、頑張ってバリバリ仕事をこなしている、そんな人をどこから疾患とするかは、なかなかジャッジ出来ないとは思います。

そこでチェックポイントとしましては、不眠不休でも疲れ知らずになる、チョットしたことで易怒的になる、妙に金遣いが荒くなる、不要なメール(ライン)や電話が多くなる、SNSにアップする頻度が急激に多くなる、このあたりに注意をして頂くのがよろしいかと存じます。

そもそも俳優や歌手や芸人の方々は、カメラに向かって突然別の自分を演じたり、いきなり何万人の前で熱唱したり、普段の日常とは違う自分を職業上演じなくてはならず、人為的に躁状態にもっていっているわけですよね。つまり仕事と普段の間には躁うつ状態レベルのギャップが生じる生活を送られているので、何かのきっかけで私生活においても躁状態やうつ状態を呈してしまう確率が高くなる生業なのではないかと・・・。

 

 

政治家もそもそも普段から軽躁状態レベルでないとやっていけないお仕事かと思います。ソウでなければ全国民に向かって実現できもしない大風呂敷の公約を口にしたり、国民から徴収した大切な税金を自分のお金のごとく、好き勝手にばら撒くように使ったりする事なんて出来るはずがありませんから!!

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