「不妊」という言葉を聞いて、女性の問題だと考える方は多いでしょう。しかし、WHO(世界保健機関)によると、不妊のおよそ5割は男性側にも原因があると考えられているのです。男性の不妊は決して珍しい問題ではありません。
ところが、実際には「不妊=女性の問題」として捉えられてきました。また男性不妊専門のクリニックが少ないという問題もあります。
そのため、男性がパートナーに連れられて婦人科に行き、男性不妊の検査を受けることが多いのです。
もちろん、婦人科でも男性不妊の検査自体は可能ですが、男性不妊を治療するためには、男性不妊に特化したクリニックを受診するほうがよいでしょう。特に生殖医療専門医の認定をもっている泌尿器科医での受診がお薦めです。
日本での不妊の定義は「健康な夫婦が避妊をしないで夫婦生活を送っているにもかかわらず、1年間妊娠しないこと」をいいます。
健康な夫婦が避妊をしない場合、妊娠する確率は1周期(月経から次の月経までの日数)あたり15%程度あるといわれるので、1年間で考えると(ひと月に1回月経があるとすると)、85%のカップルは1年以内に妊娠することになります。
現実的には、1年間妊娠しなければ妊娠しにくい状況、つまり不妊と考えて差し支えありません。また、結婚・出産年齢が上昇している現代日本では、以前に比べて社会的に妊娠しにくい状況と考えられます。
男性女性ともに、35歳を過ぎる頃から加齢による身体の問題が増えてくるため、妊娠しにくくなってしまいます。
妊娠を希望されるのであれば、早い段階で検査を受けることが重要です。
参考:世界保険機構(WHO)不妊症原因の統計データより(1996年)
男性不妊には、主に3つの原因が挙げられます。「精子の異常」「精路の異常」「射精の異常」です。それぞれ詳しく解説いたします。
男性不妊の中でも、およそ90%を占めるのが「精子の異常(造精機能障害)」です。精子の数が少ない、精子の運動率が低い、精子が全く作られないなど、様々な理由が挙げられます。
精子の通り道に問題があるのが「精路の異常(精路通過障害)」です。精子が通る道が狭くなっていたり、塞がっていたりすることが原因といわれています。精路の異常が起こるのは、先天性の原因、後天性の原因、原因不明の場合があるため、症状を見極め適切な治療を行うことが重要です。
近年増えている男性不妊の原因が「射精の異常(性機能障害)」です。勃起しない、射精しないといった症状が挙げられます。男性が射精するまでには、心理的、肉体的、神経的な反応が複雑に関わっており、どこかに異常が現れることで、射精の異常が現れるのです。特に妊活を始めてから、女性の排卵日付近に合わせて性交渉をしようとすると、プレッシャーで勃たなくなる、射精できなくなるといった方が増えています。
男性不妊には先天性と後天性のものがあります。
先天性のものには、遺伝的要因や発育段階で受けた影響等があり、後天性のものには、ストレス、アルコール、喫煙、肥満、病気や薬の影響、精巣の損傷もしくは機能障害、精子の産出あるいは射精に関するトラブルなど様々なものが考えられます。
※下記表の症状の中では勃起不全(ED)のみ当院で治療が可能となります。
無精子症 | 精液中に精子が一匹もいない状態ですが、精巣や精巣上体に精子が存在していれば、顕微授精などの不妊治療で受精・妊娠することが出来ます。 |
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乏精子症 | 精子の数が少ない症状です。精子の数が基準を少し下回る程度であれば、タイミング法などを行います。さらに精子の数が少ない場合、人工授精、体外受精、顕微授精等の不妊治療を行います。 |
精子無力症 | 精子の数は正常にあるけれど、製造された精子の運動率が悪い症状です。その精子の状態により人工授精や顕微授精などの不妊治療を行ないます。 |
精索静脈瘤 | 血流の障害で腫れが発生し、陰嚢内の温度が精巣の発育不全などを発症し、精子形成に悪影響を与えてしまいます。 |
閉塞性無精子症 | 精管の一部が癒着等で、精子の通り道が詰まり、精液のなかに精子がいない状態です。 |
先天性精管欠損 | 生まれつき精管が備わっておらず、精子が精巣内に閉じこめられた状態です。 |
膿精液症 | 前立腺や精嚢等の炎症により、精液中に白血球が増え、精子の運動率を低下させてる状態です。 |
無精液症 | 精液が造られない状態です。 |
逆行性射精 | 精液が尿道に送られずに膀胱に逆行する状態です。 |
勃起不全(ED) | 性交時に十分な勃起が得られない、あるいは十分な勃起が維持できずに、満足な性交が行えない状態です。 |
膣内射精障害 | 膣内で射精することが困難になる状態です。 |
まずはプレコンセプションチェック(ブライダルチェック)でご自身の妊活力を把握しましょう。
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