医療の最前線から学ぶ専門情報ブログ
〜医師の視点でお届けする健康ケアお役立ち情報〜
Dr.脇坂 VOL.08
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ここで少し、「ガイドライン」について触れておきます。
正式には
「男性性機能障害診療ガイドライン」といいます。
「ガイドライン」という言葉はよく耳にしますが、これは医療の世界でいえば、現時点で得られている信頼できる医学的根拠をもとに、標準的な診療内容を示した指針のことです。
このガイドラインは、「男性性機能障害の診療に携わる医療者」を対象に作成されています。
EDの分野では、必ずしも、薬物以外の治療法に関する大規模で質の高い臨床研究は世界的にも多くありません。
そのため、現時点で得られている知見を整理し、
としてまとめられています。
いわば、ガイドラインはED診療における“教科書”のような位置づけです。
現時点で、エビデンスが最も確立しているのはPDE5阻害薬による治療です。
そのため、ED治療=薬というイメージが広く浸透しているのは自然なことです。
薬は有効ですし、多くの方がその効果を実感されています。
ただ一方で、ガイドラインの中でも示されているのは、EDは単なる「その場の反応」の問題ではなく、
血管・神経・組織機能の変化が重なった結果であるという点です。
ここをどう捉えるかで、治療の考え方は少し変わってきます。

勃起は、血流や神経伝達、海綿体の弾力性、反応性が組み合わさった身体機能です。
どれか一つが悪いのではなく、少しずつ変化が積み重なった結果としてEDが現れます。
もし血流が低下し神経刺激が減り、反応性が落ちていけば、薬だけで補える範囲には限界がし生じます。
特に40代後半以降では、「使わない → 反応が鈍る → さらに使わない」という悪循環が静かに進行します。
これは性の問題というより、機能の問題です。
機能である以上、整える、刺激する、回復を促すというリハビリの考え方が成り立ちます。
足の筋肉が衰えればトレーニングをします。
心臓の機能が落ちれば運動療法を行います。勃起機能も同じです。
段階的に整え、適切に刺激し、再び反応しやすい状態へ戻していく、ここに、EDのリハビリという考え方があります。
EDのリハビリといっても、特別な運動だけを指すわけではありません。
機能を整え、刺激し、回復を促すという考え方の中には、いくつかの方法があります。
一つは、生活習慣の見直しです。
睡眠や運動、体重管理は、血管機能に直結します。
基礎的な部分を整えることは、遠回りのようでいて重要です。
もう一つは、骨盤底筋へのアプローチです。
骨盤周囲の筋機能を高めることで、機能的な支えを強化するのです。
さらに、物理的な刺激を組み合わせるという方法もあります。
たとえば低出力衝撃波治療(レノーヴァ)です。
血管や組織に超音波で刺激を与え、血管新生を促し、血管機能を強化して反応性の改善を目指します。
また、電磁刺激治療(StarFormer)によって骨盤底筋に働きかける方法もあります。
いずれも「その場の反応を出す」ことを目的とするのではなく、機能に働きかける治療です。
リハビリという視点の延長線上にある方法といえます。
神経や血管の状態が著しく低下している場合、「反応しやすい状態」そのものを整える方法はあるのでしょうか。
そこで近年注目されているのが再生医療です。
現行の男性性機能障害診療ガイドラインにおいて、再生医療は標準治療として位置づけられているわけではありません。
エビデンスの蓄積はまだ十分とはいえず、研究段階の側面もあります。
その点は正しく理解しておく必要があります。
一方で、再生医療には神経や血管の再生環境を整える可能性が示唆されています。
機能を直接引き出す治療というよりも、機能が回復しやすい状態を整えるという発想です。
もし反応しやすい状態が整えば、その後の刺激療法やリハビリの効果を高めることが期待できます。
私は再生医療を魔法のような治療とは考えていませんが、しかし、機能回復を支える基盤となり得る選択肢の一つなのは確かそうです。
ED治療の基本は、ガイドラインに沿った標準治療です。
まずは確立された方法を正しく行うことが大切です。
そのうえで、EDを「機能の問題」として捉えると、見え方が変わってきます。
薬だけに頼るのか。機能そのものの回復を目指すのか。
治療の選択肢は一つではありません。
なぜなら、EDは単なる年齢の問題ではないのですから。
血管や神経の状態を映す身体からのサインでもあります。
ご自身の身体と向き合う医療として、リハビリという視点も知っておいていただければと思います。
Dクリニックでは、標準治療から機能回復を目指す治療まで、段階に応じたご提案が可能です。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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