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〜医師の視点でお届けする健康ケアお役立ち情報〜
Dr.脇坂 VOL.06
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DクリニックではED治療薬の処方を行っていますが、ED治療薬を飲み始める年齢として多いのは30〜40代です。
仕事や家庭の責任が増え、身体の変化を自覚し始める時期と重なります。
確かに、年齢とともに勃起力が変化することは自然な現象のひとつです。
しかし医師として診療にあたっていると、EDを単なる加齢現象として見過ごしてしまうのは、少し注意が必要だと感じることがあります。
勃起は、血管・神経・ホルモン・筋肉といった複数の身体機能が連動して起こる現象です。
そのため、勃起力の低下は、身体のどこかで起き始めた変化が表に出てきた「サイン」である可能性もあるのです。
近年、医療の現場でよく使われるようになった言葉に「フレイル」があります。
フレイルとは、加齢に伴って身体の予備力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態を指します。
フレイルの段階では、筋力や体力の低下、疲れやすさ、回復力の低下などがみられるようになります。
進行すると転倒や病気のリスクが高まり、日常生活に影響が出ることもあります。
フレイルに至る前の段階として位置づけられているのが「プレフレイル」です。
プレフレイルでは、日常生活や仕事に大きな支障はなく、見た目にも元気に見えることが多いのが特徴です。
しかし身体の中では、筋力や代謝の低下、回復力の衰えといった変化が、すでに静かに始まっています。
自覚症状が乏しいため、本人も気づかないまま過ごしてしまうことが少なくありません。

EDとプレフレイルが関係すると聞くと、意外に感じる方も多いかもしれません。
しかし、勃起という現象は「全身機能の総合力」で成り立っています。
血管がしっかり拡張できること、神経の伝達がスムーズであること、ホルモン環境が保たれていること。
これらの要素は、プレフレイルの段階で影響を受けやすいものです。
そのため、EDは局所的な問題ではなく、全身状態の変化が反映されやすい指標のひとつと考えることができます。
EDはしばしば「血管の状態」を反映するといわれています。
陰茎の血管は比較的細いため、動脈硬化の影響が早期に現れやすい部位でもあります。
つまり、勃起力の変化は、心臓や脳の血管に症状が出る前の段階で、血管機能の低下を知らせている可能性もあるのです。
もちろん、すべてのEDが血管障害によるものではありません。
しかし、生活習慣病のリスクが高まる年代と重なることを考えると、EDは全身の血管状態を見直すひとつの契機になり得ます。
プレフレイルの初期変化として多いのが、下肢や体幹の筋力低下です。
筋肉量が減ると基礎代謝が低下し、血流も滞りやすくなります。
さらに、筋肉は単なる運動器ではなく、ホルモン分泌や代謝調整にも関わっています。
運動不足や筋力低下は、テストステロンの低下とも関連することが知られています。
最近、階段がつらくなった、疲れが抜けにくい、体型が変わってきた
こうした変化とEDが同時期に起こっている場合、身体全体の変化として捉える視点が重要になります。

勃起は副交感神経が優位になることで起こります。
一方で、慢性的なストレスや睡眠不足が続くと交感神経が優位になりやすく、勃起しにくい状態になります。
プレフレイルの段階では、身体的な変化だけでなく、ストレス耐性や回復力の低下も見られることがあります。
仕事の責任が増える30〜40代は、精神的負荷も高い時期です。
EDは、身体だけでなく、自律神経のバランスの乱れを知らせるサインである可能性もあります。
ED治療というと、勃起を回復させることだけを目的とした医療と捉えられがちです。
しかし実際には、EDは全身状態を評価する入口として重要な意味を持ちます。
もしEDを自覚したときには、以下のような項目も意識してみてください。
こうした小さな変化の積み重ねが、フレイルや生活習慣病へとつながることがあります。
EDは、単なる症状ではなく、身体全体の健康状態を振り返る「きっかけ」として活用できるのです。
フレイルは進行性の概念ですが、早期であれば可逆的です。
つまり、適切な運動や栄養管理、生活習慣の見直しによって、元の状態に戻すことが可能な段階があります。
EDが出現した時期は、まさにその分岐点であることも少なくありません。
「まだ大丈夫」と思っている段階こそが、実は最も大切なタイミングであることもあります。
EDは、決して特別なことでも、恥ずかしいことでもありません。
身体が発している、正直なメッセージのひとつです。
早く気づいた人ほど、選べる選択肢は多くなります。
EDをきっかけに、ご自身の身体と向き合い、これからの健康について考えてみてはいかがでしょうか。
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